2005年 07月 12日
地中海楽園紀行/23
入り口を入って右手にアトリエ、左手が美術館になっています。
階段を降りて中に入るとまず目につくのが壁面に大きく書かれた
ミロからのメッセージ。
「これらの絵が人々の心に響きますように魂の響きをプレゼントします。」
という意味だそうです。素敵なメッセージ。^^
フロア全体はかなり小規模ですが
レイアウトはよく考えられています。
それぞれの絵が効果的に見えるようランダムに仕切った壁や
絵が傷まないようにアラバスター石を窓ガラスの代わりに使った窓
と足元や天窓から差し込む柔らかい光の使い方、
気持ちよく高い天井と程よい広さの中でバランスよく配置された
作品はミロのこの美術館に対する深い思い入れとこだわりを感じます。
今までミロの作品には特に興味はなかったのですが、
ピカソやゴッホと同様に、本物を目の前にするとそれらの作品から
にじみ出るオーラが強く感じられました。
ミロの場合はシュールレアリスム作品とはいっても抽象的な
表現になるので、ダリの作品のようなわかりやすいシュールさはなく、
ちょっと上手な子供の絵のように見えなくもありません。(笑)
ポスターや本、絵はがきなどで見るミロ作品は
コントラストの激しい原色使いが派手に見えますが、
実物は思ったよりも優しい色あいに感じます。
じっと見ているとこの人はとても心の純粋な穏やかな
人だったのではないかと思いました。
あとでガイドさんに話を聞くと
ピカソのゲルニカで有名なスペイン内戦では
ミロ自身も精神的に大きな打撃を受け、
内戦後は自然や子供をモチーフにした作品へと作風が
変わったそうです。
規模としてはとても小さな美術館ですが、
ここにはミロの絵画への情熱や家族への愛、
そしてマジョルカという土地への想いが今なお強く
息づいていることがわかります。
このように小〜中規模で画家単独の美術館の方が
画家自身の想いや生い立ち、作品が産まれた背景をより詳しく
知る事が出来て非常に興味深く楽しむ事ができます。
ロケーション、作品の演出方法、作品の質を含めて
個人的にとても好きな美術館のひとつになりました。
スペインの街を歩くとどこでも見かける銀行「la Caixa」。
このマークをデザインしたのはミロなのですが、
小さな子供が赤い貯金箱にコインを入れているところを
シンボル化したそうです。
そう言われるととっても可愛く見えます。☆
by izola
| 2005-07-12 17:25
| バレンシア&マヨルカ2005