感動について思うこと。

今回の宿を決めるにあたり、「あらや」と「べにや」のどちらかに
するかはほんとに迷いました。
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コンセプトやデザイン、インテリアでは「べにや」の方が
洗練された和モダンの世界を構築しているというのはわかって
いたので、その世界を確認したい気持ちも強かったのですが、
ここ数年自分の中で旅に求める要素や好みが少しずつ明確に
なってきた中で、今回「べにや」ではなく「あらや」を選択した
理由としては、予測される感動ではなく予期できない感動を
求めていたからだと思います。

明確なコンセプトに基づいて創られたものを
確認する感動と、
歴史と文化の中から徐々に育ったものに対する感動。
どちらの感動も素晴らしいものであり、
仕事ではどちらかというと前者の感動を
求める事が多いのですが、
旅に出て一個人としての自分に戻った時には
つとに後者の感動を求めるようになってきました。
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ヨーロッパの田舎の小さな町を旅した時に
古い古い名も無い建築物や絵画を見た時に感じるのですが、
これを建てた人々や描いた人は自分達の創ったものが
後世に残るとか自分の名を残すなどとは微塵も考えずに、
ただただ自分の信じるものへの強い信仰心や
描きたいという純粋さから黙々と創りあげていったのだと思います。
そういった建築物や絵画には目の覚めるような感動はありませんが、
じわじわと心に沁み入るような感動と思い出が残ります。

昨年訪れた「二期倶楽部」でも同じ事を考えました。
創業当時からある本館とコンラン卿の提案した新しいコンセプト
の東館の両方に滞在してみた結果、
より私の心が惹き付けられたのは本館の空間でした。

今回も同じように「べにや」と「あらや」の両方に滞在して
この自分の感覚を改めて検証してみたかったのですが、
時間と費用(←これが大きな要素。笑)の関係で
どちらかひとつの選択となった時に、
今の私の気持ちに響いたのは「あらや」の方でした。
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なんだかとっても大層な前置きになってしまいましたが、
そんな私の主観と思い入れで感じた「あらや」の魅力を
次回以降すこしずつ紹介していきたいと思います。
by izola | 2005-08-31 16:11 | トラベル(国内)

旅は心の宝石箱