2006年 01月 28日
モダンソウル・リサーチ/14
Leeumは1995年に建設が始まりましたが、
通貨危機による経済難で一時期建設が中断されており、
その後2002年に再び工事が再開し、
2004年10月に開館しました。
Museum 2の設計者
ジャン・ヌーベルは1945年生まれ。
フランスを代表する現代建築の巨匠です。
彼の名を一躍有名にした「アラブ世界研究所」をはじめとして
世界各地でホテルや美術館、
その他様々なプロジェクトを手がけています。
「建築とは文明が大地に付けた傷跡であり、
その痛みの上にそびえ立つモニュメントである」
そう考える彼は、
この工事の際に掘り出された岩石を金網で固定し、
外壁に積み上げて使用する事により、
大地の痕跡を記憶としてとどめようとしています。
金網に固定された岩石の壁は
館内の窓から中庭の背景として見ることが出来ます。
建物自体の外壁に使われた「ブラックステンレス」は
世界で初めてこのプロジェクトのために多数のテストプロセス
を経て研究された素材。
この錆びたステンレス素材は
現代芸術の進歩を象徴しているそう。
また、ジャン・ヌーベルは最新技術の革新と
モダンデザインの融合を得意としており、
外観においても館内の展示スペースの形状や考え方においても、
彼のデザイン哲学は余すところなく活かされています。
館内は設置されるアートのサイズや仕様に柔軟に対応できるように
柱のないオープンスペースとなっており、
その中に様々なサイズの展示ボックスをランダムに配置。
展示ボックスは中に配されるアートをそれぞれ独立して
見せる事ができるだけでなく、展示ボックスの一部を外部まで
突出させる事により美術館の一部となって外観を構成しています。
写真で見えるランダムに出っ張った部分が展示ボックスの
一部となっています。
展示されている作品はイ・ジョンソプやパク・スグンなどの
1910年〜現代に至るまでの韓国現代アート作品と
ジャコメッティやドナルド・ジャッド、ダミアン・ハースト等
1945〜60年代の海外のミニマリズム・アートが
中心になっています。
単にそれらの作品を活かすためだけの機能的な空間ではなく、
飾られるアートと展示される空間とが一体となって
互いの芸術性をより高めている素晴らしい空間でした。
そして建築やアートに対するアプローチの仕方が
Museum 1とは全く異なりながらも、
同じレベルの高さを維持している点も凄いと思いました。
*各美術館内部の様子を見たい方はこちらのサイト
にゲリラ撮影した写真と詳細レポが載っています。
*次回は児童教育文化センターのご紹介です。
by izola
| 2006-01-28 20:03
| ソウル2005