俵屋/2

<客室/1>

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季節を演出する仕事をしていながら
ブログでは季節感無視時系列無視な更新を
続けている恥ずかしい私なのですが、
こうなったらいっそ開き直って時系列無視(というより逆行?)
の法則に従い、1月に滞在したPH東京レポに引き続き、
お正月に滞在した俵屋旅館のレポを更新したいと思います。


よりによって一番暑い時期に正月ネタかよっ!と突っ込まないでくださいね〜。^^;





宝永年間創業の俵屋旅館には
幕末の禁門の変(1864)で焼失後に再建された
木造二階建ての本館と、建築家吉村順三氏設計の
鉄筋コンクリート造の新館(1965竣工)があり、
全18室ある客室は全てしつらいが違います。

今回私が滞在したのは本館2階にある「霞の間」。
こちらの建築家のブログを拝見して、
窓から見える青竹の清々しい眺めに一目惚れしました。

でも、お正月滞在で部屋指定の予約は到底無理だろう
と思いつつ、勇気を出して電話してみると
幸運にもこのお部屋と1階の2部屋のみ空いているとのこと。
迷わず霞の間に決めました。


扉を開けると、踏込みの壁には
お花ではなくおさるさんがお出迎え。
とぼけた表情が可愛らしくて思わずくすり。
名旅館に足を踏み入れた緊張がほぐれました。
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部屋には佐藤年さん手描きのスケッチがあります。
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優しいタッチで部屋の特徴や建具の素材の説明などが
丁寧に書き込まれた絵と文字からは
当主の宿に対する深い愛情が伝わってきます。
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踏込をくぐると四畳の次の間。
次の間から本間の庭に面した部分は全て窓になっており、
次の間は足元を掘り込んだ出窓に腰掛けて
青々とした竹を眼前に眺める事ができます。
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次の間に入って踏込を振り返る。
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出窓の後ろにはお茶セットが置かれた小さな棚。
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次の間から本間を見る。
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本間から次の間を見る。(本間は八畳)
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写真で見ても判ると思いますが
部屋全体の天井高が通常よりかなり低いので、
入ってしばらくは圧迫感があります。

ですが、中庭に面してL字に連続する窓が
視線を遮らずに互いの空間を抜けていくので、
中空の庭を含めた空間を部屋全体の広さと感じる事ができ、
その眺めと天井の低さが次第に心地よい開放感と
穏やかなお籠り感を誘ってくれます。


庭を眺めてほっこりしながらいただくのは
宿泊客がこぞって絶賛するというわらび餅と煎茶。
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ふるふると柔らかな食感と優しい甘さ。
噂に違わず美味でした。
わらび餅好きの私は5回くらいおかわりしたかった!笑。
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ここに座って庭を眺めたかったのですよねぇ・・・。
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出窓の足元の引き戸はイカット?が張ってあります。
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座り心地最高と評判の「ベンツ椅子」。
あとでこれに座ってゆっくり読書しましょう。
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決して広くない部屋も庭もこのように
切りとられると窓であったり絵画であったり・・・。
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本間の床の間はちょっと変わったレイアウト。
正月アレンジは伸びやかに流れ落ちる柳と華玉。
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漆台の上にはちっちゃな白鼠の乗った米俵。
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掛け軸はまたまたお猿さん。
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それぞれの部屋に飾られた美術品の説明書きも
きちんと置いてあるところも素晴らしい。
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中庭を上から覗くと・・・
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庇の上に張られた銅板がいい色。
隣との境界は意外と狭いのです。
でも互いには決して見えないのです。
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本間から庭越しに見た次の間。
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ガラス窓の外には簾、内側には遮光の黒いカーテン、
一番内側は雪見障子の4重構造です。
季節や時間に応じて上手く光や眺めを
使いわけられるようになっています。
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踏込の上の照明。
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夜の次の間。
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こんな書斎があったらなぁ・・・。
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ここに限らず、京都は狭い土地の中で空間や眺め、
光にメリハリを付けるのが本当に上手いと思います。

俵屋ではどのお部屋からもそれぞれ違った趣向で庭が
眺められるそうなので、部屋のしつらいだけでなく
庭の眺めの違いを確かめる為だけにでも
全室通いたくなってしまいます。。。キケンだ・・・。
by izola | 2007-07-31 21:05 | 俵屋旅館

旅は心の宝石箱