アサヒビール大山崎山荘美術館



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朝、窓の外を見て爽やかな青空が広がっていると
つい電車の行く先を変えてここに来ることがあります。







美術館まではJR京都線の山崎駅から10分ほどのプチハイキング。


駅から踏切を越えて山手に向かっててくてく歩いていくと
琅玕洞(ろうかんどう)と呼ばれるトンネル風の門があります。

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そこをくぐって更に上に登っていくと山荘風の本館が見えてきます。

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この建物は大正時代に関西の実業家加賀正太郎氏が
イギリスのチューダー様式を模して自ら設計し建築した別荘。

現在はアサヒビール(株)が所有し、美術館を含む周辺地域の
景観保存を目的とした美術館として活用をする為に
建築家安藤忠雄氏に山荘の修復及び新館の設計を依頼し1996年、
「アサヒビール大山崎山荘美術館」として生まれ変わりました。

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こぢんまりとした玄関が美術館の入口。

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中は撮影不可なので紹介できませんが、
内部はイギリスの洋館のようだったり日本の民家の
ようだったり、どこかオリエンタルな要素もあったりと
様々な様式が混ざり合いながら独自の雰囲気が創り上げられ、
柱、壁、床、階段、窓等、どこもとっても職人の手による細やかな
細工が施され、丁寧に修復され手入れされている空間です。


本館のメインコレクションはアサヒビール初代社長の
山本爲三郎氏の民藝コレクション。
河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉等、
民藝運動を代表する陶工の作品が館内の空気と混ざり合うように
馴染んでいます。



建物と共にそれらの作品を見るのも好きですが、
なんといってもここで一番好きなのはこのテラスからの眺め。

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美術館は木津川、宇治川、桂川が合流する天王山山麓に位置し、
広いテラスからは遮ることなく目の前に広がる
穏やかな景色と空を一望する事が出来ます。

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なんでも、若かりし頃欧州に遊学した加賀氏が
ウインザー城を訪れた際に目にしたテムズ川の流れに思いを馳せて
この地に山荘を建てたとか。

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この日は思いのほか暖かく風が心地良かったので
テラスでのんびりコーヒーをいただきました。

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青空を背景に刻々と形を変えてゆく雲、
柱や梁や床にドラマティックに影を刻んで行く日差し、
慈しまれた空間が放つ暖かいオーラを感じながら
ぼんやり遠くの山並みを眺めているとなんとも豊かな気持ちになります。

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テラスの一角には濱田庄司とバーナード・リーチが
アサヒビール東京大森工場の為にデザイン、制作した益子焼きのタイル。

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本館は美術館としてはとても小さな建物ですが、
何度訪れてもそのディテールを見飽きる事がありません。

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そして本館だけでなく、
「地中の宝石箱」と呼ばれる新館も素晴らしいのです。
(写真は庭の睡蓮池越しに見た新館の通路部分。)

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本館から新館へのアプローチはまるで神殿への入口のように
静かで神聖な空気が流れています。

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安藤氏は新館を設計するにあたって新館の建物の
ほとんどを地中に埋めました。
円形ギャラリーは緑化された天井の一部を見るのみ。(写真右下↓)

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この構造のおかげでこの地の素晴らしい景観は損なわれず
環境も破壊されずに済みました。
あえて見せない事を最大の見せ場とした安藤氏の決断に拍手。


ギャラリー内部にはアサヒビールが所有する
モネの「睡蓮」が展示されています。


訪れた日はアサヒビールが所有する5点の睡蓮作品
全てが特別公開されている企画展
「睡蓮池のほとりにてーモネと須田悦弘、伊藤存ーの最中。

新館の通路とその前には睡蓮池があり、
その様子にジヴェルニーを思い出しました。

ここに展示されているのはパリのオランジュリーに収められた
睡蓮の習作として描かれた作品なので1点が2m×2m程。

絵のサイズも点数も美術館のスケールもオランジュリーとは
比べるべくもありませんが、自然豊かで閑静なこの場所で
土地と建物と芸術が静かに一体になっている様はとても好ましく、
庭の一角にただ立っているだけでも心が安らぎます。

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きっとモネも民藝の陶工達もここに作品がある事を
喜んでいるのではないでしょうか。




*オランジュリー美術館の過去記事はコチラ
*ジヴェルニ−の過去記事はコチラ
Commented by fumifumi-us at 2010-02-10 23:17 x
はじめまして。 麻生さんのブログから飛んできました。
京都は好きな街で何回も訪れてはいるのですが、ここも次回是非・・・と
思わせてくれる所ですね。
こちら、シカゴ美術館にもモネの作品が何点かありますが、楽しみです。
Commented by hiyoko at 2010-02-11 01:30 x
ここ、ほんといいね~。
izolaちゃんが惚れ込むのもよくわかるわ。
なかなか1泊ではここまで足を延ばせないから、いつか周遊旅行なんて出来たらいいなー。
うちの近所に日本民芸館っていう民芸運動の作者ばかり集めた美術館があって、そこもなかなかだけど、でも、私はこちらの方が好みだわん。
Commented by pachi at 2010-02-11 03:55 x
お久しぶり〜、あけましておめでとう!(遅)
今年もどうぞよろしくね〜〜〜^^   ブログは止まってるけど…

大山崎山荘、昨年の秋に初めて訪れたわ。雰囲気が素敵やった!
そしてもちろん帰りはウィスキー工場見学よ!えぇもちろん!(なぜ2度言う)
Commented by アーモンド at 2010-02-11 14:06 x
以前、「日本の家」(講談社刊)という写真本をみて、ニッカウヰスキーの創始者のこの別荘のことを知りました。写真には、蓮の花が咲き乱れていてほんとモネの世界のようで夢見心地!
それと建物と内装が洗練されていて美意識の高さに圧倒。
この別荘、夏目漱石に名前をつけてくれと頼んだけど気に入らなくて大山崎山荘になったらしい。プライドの高いちょっとわがままな人だったのかも!?・・
この「日本の家」は、シリーズ本になっていて日本全国の明治、大正、昭和初期の財界人のお家の写真や財界人の生い立ち、生涯や、どうして財をつくったかとかのエピソードも載っていてかなりおもしろいですよ。
生い立ちや生涯と建てた家をみて、その人の、人となりがなんとなく理解できるから不思議。・・・
ディテール好きのizolaさんには、家の意匠の写真がふんだんに掲載されて、こりゃ、たまらんですよ。!
私も、この日本の家シリーズ本をいつも、なめるように読んでいます。^^
Commented by izola at 2010-02-11 19:54
>fumifumi-usさん、はじめまして&コメント有難うございます!
ここはとっても素敵な所なのですが、
京都と言ってもかなり大阪寄りになりますし、
ここに来る目的がないと足を運ばないような場所ですから
京都に来られてもなかなか足を伸ばせないですよね。
でも、ゆっくり滞在される機会があれば
是非是非訪れてみてください。^^
fumifumiさんはシカゴにお住まいなのですか?
シカゴ美術館のモネ作品もいつか見てみたいです♪
Commented by izola at 2010-02-11 19:59
>hiyoko姉さん、ここは本当に素敵な所なんですよー。
山手にあるのでとても見晴らしが良くて気持ちよくて、
ただ散歩に来るだけでも楽しい所です。^^
勿論美術館としての建物とコレクションも
個人的に大好きです。
姉さんもきっと気に入られると思います♪

我が家からは電車だとすぐなので、もしお時間があれば
いつか民宿izolaに滞在して美術館&ナニワBグルツアーも
実現させましょうね〜♪

今度、日本民藝館に連れていってくださいね☆
Commented by izola at 2010-02-11 20:02
>pachiちゃん、わ〜久し振りやね〜〜!元気〜〜??
あけましておめでとうございます☆(笑)
今年もどうぞ宜しくね。^^

pachiちゃんもここに行った事あるのね。
ここはピクニック気分で行っても楽しい場所だよね。
そうそう、サントリー山崎工場もあるしね!笑。
Commented by izola at 2010-02-11 20:19
>アーモンドさん、「日本の家」シリーズ面白そうですね。
機会があればじっくり読んでみたいです。^^
昔の財界人の情熱と気合いとプライドの高さと
財力は本当に凄いと思います。

大山崎山荘の命名の由来は館内で見た美術館紹介のDVD
で知りました。夏目漱石が考えた14の候補が
どんな名前だったのかぜひ知りたいです〜。

来月は美術館主催で本館の非公開の建物と美術館の近く
にある建築家・藤井厚二の実験住宅「聴竹居」を
案内してもらえるギャラリーツアーに参加する予定なので
ディテール好きな私は今から楽しみです♪
by izola | 2010-02-10 22:18 | 美術館(国内) | Comments(8)