草喰なかひがし/'11 August



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残暑お見舞い申し上げます。

毎日溶けそうに暑い日が続いていますがお変わりありませんか。
お盆休みはご家族、ご先祖様と共にゆっくり過ごされたでしょうか。







今宵、京都は五山の送り火。
ご先祖様が舞い上がる炎と共にお戻りになる日。
今頃五山では送り火が燃え盛っている頃でしょうか。

今年この送り火で予定されていた被災地の松を燃やせなかったのは
非常に残念な出来事でした。

結局後から燃やすと決めた薪の樹皮からはセシウムが検出されて燃やせず、
当初燃やす筈だった護摩木のメッセージを違う護摩木に書き写して燃やすという
方法が取られたそうですが、それは事態を収めるための対処としか見なされず、
きっと被災者側は勿論の事、関係者の誰もが心から納得していないと思います。

何故最初に予定していた松を検査してセシウムが検出されなかった時点で
実施を決定しなかったのかと不思議でなりません。。。

きっと様々な事情があり一概に非難する事は出来ないのでしょう。
何もしていない私がこんな事を言うのはおこがましいのはわかっています。

でも送り火の本来の意味を、そして震災でご家族ご友人を亡くされた
皆様の心情を思うと、もし燃やせなかったとしても最初の松を拒むという
選択ではなく何か他の形で一緒に供養する方法もあったのではないかと思い、
なんともせつなくやりきれない気持ちになりました。


カタチを大事にするのか、ココロを大事にするのか・・・
伝統行事の意味を深く考えさせられました。









先週、そんな複雑な思いを抱きつつ訪れた大好きな京都。

でもこの日はとある京の伝統文化の担い手との話し合いに
もやもやしていた思いを払拭してもらえるような出来事がありました。
その話はいずれ機会があれば。



長いお話の後、嬉しい気持ちで向かったのはこちら。
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入口では花の代わりに季節の野菜がお出迎え。
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掛け軸も夏野菜の茄子。
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席に着いて煎茶をいただき、汗がすっと引いた頃に
ご主人が八寸の乗った盆を捧げ持ってご挨拶に。
それを受け取ると夕餉がスタートです。







ひさご型の漆器に葛の葉を敷いた上に夏の恵みがぎゅうっと凝縮されています。
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大徳寺納豆を射込んだ玉蜀黍のムース、へしこを挟んだ大根、
ささげ豆の味噌漬け、陸蓮根、藜と百合根のおひたし、
田中唐辛子の焼いたん、虹鱒のお寿司、炊いた茄子に枝豆を挟んだもの。
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いつものようにご主人の説明を聞きながら一品一品有難く味わいます。



八寸の次は口の中一杯に夏の香りが広がる一品。
イタチ胡瓜の葛煮の上に胡麻豆腐とあさかぜ胡瓜のムース。
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イタチ胡瓜は地生え胡瓜を黄色くなるまで成長させたものだとか。
胡瓜の語源は黄色い瓜(黄瓜)からきているそうです。






ここでワインを注文。

ご主人の選ぶワインはどれもなかひがしの料理そのままの
爽やかな香りと軽やかな中にも余韻のあるワイン。

いつもは一杯で終わりなのですが、今回どうしても赤も飲んでみたくて
チーム呑めねー返上で頑張りました。(笑)


この日は山梨の津金という土地でビオワイン作りを頑張っているという
若い造り手のワインをいただきました。
ヴォー・ペイサージュのシャルドネ。
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一口目にパッと華やかな香りと甘さが広がるけれど
決して甘さを引きずることなく、かといって軽くもなく。
ものすごく好みな味わい。



夏場は白味噌椀の代わりに手打ち蕎麦。
蕎麦の上には山芋、陸蓮根、モロヘイヤの最強ネバネバトリオ。
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去年のうるかを塗って炭火で焼いた鮎の陰干しも絶品です。
頭から尻尾までバリバリ美味しくいただきました。
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鮎に添えられたのは万願寺唐辛子&完熟トマトピュレ。こちらも旨し。



いつもの鯉は紫蘇のジュレ、海水に漬けた梅、茗荷や陸蓮根の花と
共によく混ぜて。器はシダと狐が彫り込まれたボヘミアン。
目に舌に涼しい一品。
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スイスイと鮎が泳ぐ椀の中には・・・
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清汁の中に鱸、じゅんさい、独活の花等。
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鯖のなれ鮨の代わりは鮎のテリーヌ&ナイアガラワイン。
鮎は夜明けをイメージしたお皿に乗って、トマトは太陽、辛子は月。
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つやつやの煮えばなご飯。
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揚げた茄子の皮と三度豆、パプリカ、山椒が乗った
蒸し賀茂茄子+白味噌ソース。
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赤ワインは同じ造り手のリリースされたばかりのメルロー。
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抜栓したてはぶわっとむせ返るように草の香りがする若々しいワインですが
こちらも時間の経過と共になんと言うか、クセがある訳ではないけど
忘れられない香りに変わっていきます。。。

私がチーム呑んべーなら白も赤も一本ずつ飲みたかった。笑。


赤のエチケットはご主人作。
ワインの名前は「然 SHI・KA・RI」。
然はあるがままの自然。葡萄の葉に乗ったてんとう虫は人間を表しているそう。
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この造り手に対するご主人の思い入れはとても深いようです。
きっとご主人と同じ哲学の元、ワイン造りをされているのでしょうね。




是非この料理と合わせて飲んでほしいと出されたのが琵琶湖の大鰻。
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炭火でじっくり丁寧に焼かれた大鰻の香ばしい香りと程よい脂、
たっぷり乗せられた山椒、ワインを一緒に口に含むと素晴らしいバランス。
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鰻の後は糸瓜でさっぱり。
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ご飯のお供あれこれ
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メインディッシュの鰯の丸干し。
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ご飯はお代わりを忘れずに。^^
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水菓子はなかひがしの井戸水で作った寒天と真珠豆に
夏の果物がいろいろ入ったなかひがし風みつ豆。
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この日も思う存分季節を味わい尽くしました。
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春に続き、夏もなかひがしで季節を締めくくれたことに心から感謝。




*「草喰なかひがし」のタグを作りました。
Commented by hiyoko at 2011-08-25 18:52 x
この一件は、本当に不可思議でしたね。
この件だけではないけれど、お役所ってホント理解できないことが多いわ。
どうして、市民や国民にとって一番大切なことや幸せなことは何か、という当たり前のことが優先されないのか・・・。
そんな人たちに市政や国政を任せていいのだろうかと、本当に不安になります。

さて、夏のなかひがしさん、美山荘ともまたちょっと違う内容。
7月と8月だからかな。。。
しかし、どれもみんな美味しそう。
鮎の絵のお椀、贅沢よね~。
この時季だけしか使えない。
あー、器を見るためにも、いつかは季節ごとに行きたいなかひがしさんなのです。
Commented by izola at 2011-08-26 20:05
>ヒヨコ姉さん、送り火の護摩木問題は京都市としての判断
ではなく保存会の判断で中止が決まったそうなのでお役所の
せいではないのですが、どちらにしても残念でなりません。
この一件で京都は被災者からの信頼も観光都市としての信頼も
大きく損ねてしまったと思います。
でもきっとこれは氷山の一角で、被災地の方々はこういう
差別的な扱いをあちこちで受けて地震の被害だけでなく
心の傷もたくさん抱えていらっしゃるのだと思います。
何が一番大切なのかをもう一度国民全体で考えないと
いけない時期にきてるのかもしれないですね。

なかひがしはどの季節に訪れても素晴らしいですね。
定期的にここに来て仕事でズレズレになった季節を取り戻して
いる感じです。いつか一緒に毎月通えるようになると
いいですね〜!^^
by izola | 2011-08-16 20:43 | グルメ | Comments(2)