ミクロの視線、マクロの思考

この間の東京行きの大きな目的でもあったのが
nongさんの記事でおすすめされていた
「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」へ行くことでした。
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コンラッドをチェックアウトしてそのまま
六本木ヒルズの森美術館へ向かいます。

平日の午後早い時間だったので、人はほどほどで
2時間ほどかけてゆっくりと見る事ができました。
人気の展示会なので、土日はすごい人なんでしょうね。



ダヴィンチといえば「モナリザ」で有名な
ルネサンス時代の偉大な芸術家ですが
芸術家の顔以外にも科学者、建築家としても
偉大な功績を残しています。

今回の展示会ではそのダヴィンチが書き遺した
「レスター手稿」が日本初公開されることで話題を呼びました。

全72ページからなる「レスター手稿」はダヴィンチの晩年に書かれ、
天文学、流体力学、地球物理学などの多分野における考察が
緻密な鏡面文字とデッサンで描かれています。
ガリレオやニュートンに先立ち、月の光の起源や天体における重力
の影響などを指摘し、その先見性と独創性には目を見張る
ばかりです。(*カタログより引用)

詳しい感想を書くと延々と続きそうなので短めにしますが、
とにかく素晴らしい展示会でした!
ほんとに見れて良かった。


木の葉から落ちる一粒の滴を見て地球や宇宙に思いを馳せる・・・

明確な情報や機器がない時代に生きた彼の方が
情報と物に溢れた現代に生きる私たちよりもよほど
ミクロな視線とマクロな思考で物事を観察することが出来た
という事実に、ただ驚愕と感嘆するばかりでした。

今まで芸術家としてのダヴィンチにはさほど興味がありませんでした。
ルーブルで見た「モナリザ」はあまりにも小さく、しかも
いつも人だかりで近くで見ることができなかったのです。

ですが、今回間近で見た「レスター手稿」からは
ほとんど暗闇の中で見るような状態だったにもかかわらず
見る者を吸い込むようなオーラを感じました。
あの手稿にはダヴィンチの思いが強く宿っています。

紙面を埋め尽くすようにびっしりと、まるでアリのような小さな
鏡面文字と信じられない位緻密に描かれたスケッチは
ハードディスクにデータを落とし込むように正確に精密に
彼の思想を刻み込んでいます。

この「レスター手稿」は現在ビルゲイツ夫妻が所有し、
1年に1度、1ヶ国のみで公開される貴重なものです。

再び日本で公開されることは数十年先まで、
もしくは二度とないでしょう。

11月13日まで開催されていますので、
少しでも興味のある方はぜひ。

できれば平日のあまり人が多くない時にゆっくりと
行かれる事をおすすめします。
(有給をとってでも平日に行く価値はあると思います。)

あとオススメなのが、イヤフォンガイド。
(ここのはハンディフォンタイプでした。)
入り口で\500で借りれます。

人混みの中ではそれぞれのコーナーの説明パネルをきちんと
見れないと思うのですが、これがあれば少し離れた場所でも
全てをしっかり聞き取る事ができるので助かりますし
疲れ方が違います。パネルの小さな文字をずっと目で追ってると
とても疲れますよね。
説明パネルに書いてない事も補足情報として
付け加えてくれるのも魅力です。

ダヴィンチやレスター手稿についてより詳しく知りたい人は
+展示会カタログも購入しておくとあとでゆっくり
振り返る事ができていいと思います。
私は普通のカタログにしましたが(上の写真)、
レスター手稿のレプリカ付きカタログもありました。

短く書くといいながらも結局は長々と書いてしまいましたね。(笑)

nongさん、素晴らしい展示会情報を
本当にアリガトウ!
by izola | 2005-11-02 21:00 | 美術館(国内)

旅は心の宝石箱