野草一味庵 美山荘/3

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写真は美山荘の敷地内に流れる美しい清流。
離れはこの清流沿いに建っており、
離れの各部屋には清流の上にかかるように月見台があります。
お風呂もこちら側にあります。

このロケーションは二期倶楽部の本館に
よく似ているなと思いました。
あちらの方が全体の規模は大きいですが、
どちらの宿もこうした自然の中に
溶け込むような造りとなっています。





清流側の庭の一角に夕食に出される岩魚と鮎を
泳がせておく池がありました。
岩魚も鮎も目の前の清流を泳いでいたものだそうです。
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夕食前に控えの間で西瓜とアニスのカクテルが出されました。
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カクテルを飲んだら隣の座敷に場所を移して
いよいよお楽しみの夕食がスタートです。
ここでは食卓は無く、座敷の畳の盆の上に直接食事が
運ばれて来ます。

まずは大きな塗盆に乗せられた八寸が運ばれてきました。
この八寸を見た瞬間に今宵の食事は間違いなく素晴らしいもの
になると確信できました。
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彩りよい八寸は竹煮草の上。
カタクリの根、黄身の味噌漬け、焼き枝豆、鰌の南蛮
鹿比谷唐辛子の鰌卵詰め、川海老の唐揚げ、
蒟蒻のアラレ揚げ、根曲竹、トマトスープ。
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この手拭いを膝の上に広げて食事をいただきます。
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大きな蕗の葉の上に置かれたチロリ。
酒の演出も見事。
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賀茂茄子の白味噌仕立てと岩魚の刺身。
この白味噌仕立て、あまりの美味しさに思わず身悶えするほど。
岩魚は先程庭先で見かけたもの。
川魚の臭みは全く感じませんでした。
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新蓮根とオクラの味噌漬け。
野菜の食感を活かした程よい漬け具合が絶妙。
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鮎寿司。こちらも臭みは全くなし。
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この水差しのデザイン、素敵すぎます。
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鰻の白焼きと葛豆腐の碗もの。
これぞ京料理の出汁・・・に、うっとり。
鰻はふんわり葛豆腐はしっとり。
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メインは鮎の炭火焼き。
焼立てが大きなざるに笹を敷き詰めた上に乗せられて
このように運ばれてきます。
大きな鮎がひとり三尾ずつ。
食べきれないのでニ尾でいいと言うと、
翌朝あたためてお持ちしますね、と残りを下げてくれました。
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古伊万里のみじん唐草の長皿に鮎を取り分けて。
手前はたで酢。
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口直しのじゅんさい。
器の絵が中底まで描かれています。
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炊きあわせはモロコ豆、葉竹、蕗、イタドリ、湯葉しんじょ。
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お茶を入れている急須がまた素晴らしい。
錫に漆を塗って仕上げているものだそうです。
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最後の御飯と香の物。
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たっぷりの生姜が混ぜ込まれたご飯は締めにぴったり。
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爪楊枝と器も手抜かりなし。
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デザートは白桃にレモングラスのジュレを掛けたもの。
みずみずしい白桃にレモングラスの香りが爽やか。
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飲み切れなかったお酒は夕食後のお風呂上がりに
器を変えて出してくれました。
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摘草料理と聞くと本当に葉っぱや山菜などクセのある
食材が中心の精進料理的なものかと想像していましたが、
地元で採れる上質で季節感溢れる食材をふんだんに使った
会席料理は、味も量も演出も器も申し分ないものでした。

ただ、私は素晴らしく好みに合いましたが
川魚や和の香り野菜(山椒、茗荷、生姜、山葵、
三つ葉、柚子等)や山菜が苦手な方にはここの料理は
あまりお勧めできないかもしれません。

料理は若い仲居さんの手でひと品ひと品タイミングを見計らって
丁寧に運ばれます。わずか4組のゲストということもあり、
冷たいものは冷たく、熱いものは目の前で作られたように熱く
どれも理想的な状態で供されます。

食事の間にときおり顔を出し言葉を交わす
若女将との会話もとても楽しく、
眼も胃も心も優しく温かく満たされた
静かで豊かな時間でした。


*次回は朝食をご紹介します。
by izola | 2006-09-27 17:43 | 美山荘

旅は心の宝石箱