2006年 11月 09日
建仁寺祇園丸山
ホテルからタクシーで向かったのは祇園の
「建仁寺祇園丸山」。
こちらは高台寺和久傳の料理長だった丸山氏が
独立開店された「祇園丸山」の姉妹店になります。
本店はカウンターが主体のようですが、
ここは、二人でも個室でゆっくりとくつろいで
過ごす事ができてロケーションもいいと評判だったので
建仁寺店の方で予約を入れました。
祇園丸山といえば京都ガイドブックの名料理店コーナー
には必ずといっていい程紹介されている料理店。
どんな立派な門構えなんだろう?
ちょっと緊張するかな?などと思いながら
店の前でタクシーを降りると、そこは目の前の提灯がないと
料亭とはわからないような小さな町家です。
暖簾をくぐると綺麗に水が打たれた小さな坪庭があり
その横の玄関で靴を脱いで2階の個室にあがります。
通された個室は6畳に床の間がある和室。
まずは丸山のロゴが刺繍されたおしぼりと
錫の器に入った食前酒。
続いて出された八寸はこの日が芋名月ということで
青々とした芋の葉の上に乗せられていました。
黄色の小鉢には胡桃豆腐。
手前の竹笛のような器を開けると宝石のように
彩り良く並べられた前菜の数々。
うーん、いきなり魅せてくれます。
美味しい和食には美味しい竹酒を。
涼し気な青竹の酒器。
お次は鱧と松茸の碗もの。
夏の終わりと秋の始まりが重なるこの時期ならでは。
・・・旨い。
向付は確か鯛と鮪と?
大根の代わりに添えられたのは鯨の軟骨。
見た目は大根のツマか春雨のようですが、
食感はコリコリとして刺身に良く合いました。
焼き物は確か甘鯛にたでのソースをかけたもの。
たでといえば鮎に付ける「たで酢」しか知りませんでしたが
このように合わせても美味しいのですね。
前半は慣れない席でやや緊張気味でしたが、
給仕の時以外はほとんど人は来ませんので、
次第に部屋を詳細に眺める余裕も出てきました。
生け花は初秋らしくススキと秋桜。
掛け軸はどなたの作?
大きな螺鈿の箱は中国のものでしょうか。
後半に出て来たこれにはちょっと感動。
無花果の田楽。
素揚げした無花果の上に赤味噌と白味噌が茄子を
思わせるバランスで乗せてあり、
表面は香ばしく焼き色がついています。
この香ばしさと味噌と無花果の甘味が絶妙でした。
無花果田楽のインパクトが強過ぎて
炊き合わせはほとんど印象に残りませんでした。
最後の珍味盛り合わせも美味しかったのですが
最早食材名が・・・。一番奥は「絹もずく」でした。
締めのご飯は茗荷をたっぷり炊きこんだ茗荷ご飯。
茗荷の香りがきついのでは、と心配しましたが、
思ったよりも優しい香りに誘われてついついおかわりを・・。
よく見ると凝った器&爪楊枝。
水物は右の皿に梨・メロン・巨峰・バナナアイスクリーム、
左のガラス器は何か(忘)のジュレでした。
どの品もとても丁寧に仕事されているのが
よく分かる料理と味付けで、前回の美山荘に続いて
京料理の繊細と洗練を堪能させていただきました。
少年の頃、ピカソの絵画に感銘を受けて
その美の世界を自分は料理で表現しようと思われたという
丸山氏が創られる料理の数々は、絵画のような華やかさを
持ちつつも、シンプルに美味しいと思える料理。
「ここに来るともっとも京料理らしい料理が味わえる」
という評判には多いに納得。
食後に庭を眺めていると
丸山氏ご本人が挨拶に来られました。
(女将は食事の中盤に来られました。)
個室にはこのように低めのテーブルと椅子が配されており、
正座が苦手な方でも気軽に楽しめるようになっています。^^
大満足でお店を出た私達。
せっかくだから散歩がてら花見小路まで行って
ちょっと飲んでかえりましょう♪
という話になったこの時に大変ラッキーな出来事が。
花見小路までの道がよくわからず、
お店の方に歩き方を聞いていた私達が心配になったのか、
見送りに出られていた丸山氏が本店に戻るついでに
花見小路まで送ってあげますと申し出てくださいました。
送ってもらうだけでも充分図々しかったのですが、
その道すがら、図々しいついでに近くでお勧めのお店は
ありませんか?と聞いた私達。(笑)
こちらが祇園丸山本店。↓建仁寺店から早足で5分ほど。
図々しい私達を案内してくださったのはこのお店。
実はここ、丸山氏いきつけのバーで、
通常ならば一見さんお断りのお店。
今回は丸山氏の紹介と言う事で特別に
入れていただくことが出来ました。
*外観は町家ですが、中はちゃんとバーのインテリアでした。
更には本店に帰るはずの丸山氏も一緒に入られて、
カウンターに並んでお酒を飲むという驚くべき展開に。
丸山氏はマティーニを一杯だけ飲んでから店に戻られました。
その間に少しお話を聞かせてもらいましたが
祇園という街も色んな意味で徐々に変わりつつあるようです。
思いがけず、京都という街の持つ奥深さを
身を持って体験することができた楽しい一夜でした。
*次回はホテルに戻って朝食編です。^^
by izola
| 2006-11-09 23:59
| グルメ