歌舞伎と天麩羅

歌舞伎と天麩羅_b0035734_1972699.jpg


昨日の京都は花見の時期かと
勘違いする程のあたたかな一日でした。





H様からいただいた招待状を持って
訪れたのは久しぶりの「京都 南座」

劇場前には粋に着物を着こなした外人さんが↓
いらっしゃいました。^^
歌舞伎と天麩羅_b0035734_197467.jpg

ここ南座は、元和年間に公許されて以来、
明治、大正の改装と昭和という時代を経て
平成3年に外観はそのままに内部を全面改装して
現在の形になったそうです。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1981283.jpg

歌舞伎と天麩羅_b0035734_198289.jpg

歌舞伎と天麩羅_b0035734_1982083.jpg

この日の演目は中村橋之助主演の三月花形歌舞伎
通し狂言「霧太郎天狗酒盛」

ストーリー自体は単純な内容でしたが、
華やかな舞台セットや途中のどんでんの様子、
歌舞伎ならではの台詞まわしや見栄の切り方、
艶やかな衣装にアクロバティックな宙乗りなどなど
見どころ満載で、歌舞伎に全く詳しくない私でも
楽しく観ることができました。

出演した役者の中では主演の橋之助よりも
遊女役の七之助が郡を抜いて素晴らしかったです。
世界遺産のナレーションでお馴染みの勘太郎くんも
まだまだ貫禄はないけど頑張ってるなーと微笑ましかったです。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19171231.jpg

久々のジャパニーズオペラに感動した後は
足早に四条大橋を渡り、錦市場を通り抜けて
御幸町をグングン歩いて三条方面へ。

この日予約していたのは俵屋旅館が
経営する天ぷら懐石のお店「点邑」

佐藤年さんが、俵屋に連泊するゲストが
食事に飽きないようにという気遣いから
生まれたお店だそうです。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1965731.jpg

以前は1階が「ギャラリー遊形」でしたが、
現在ギャラリーは旅館にすぐ近くに移転していて
ここはショーウインドーのようになっています。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_199349.jpg

奥のらせん階段を上がったら点邑。
2階はカウンター、3階は座敷席になっています。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1994650.jpg

今回はカウンター席でいただきました。
カウンターはわずか10席。とても小さな空間です。
でもそのおかげでゲストは目の前で揚げられる
天ぷらを熱々でいただくことができます。

この日お願いした「天ぷら懐石コース」は
前菜3品+天ぷら+御飯+デザートという構成。

まずはビールを。錫のコップで飲むビールは
心なしか美味しく感じます。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1995989.jpg

一品目は「すっぽん茶碗蒸し」でしたが
写真がボケボケでした。

ニ品目は「平目のお造り」。
ねっとりとした身と歯ごたえのあるエンガワが美味。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1910777.jpg

三品目は・・・
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19101786.jpg

百合根と鴨まんじゅう。
たっぷりの餡とからめると幸せ。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19102546.jpg

お次は天ぷらのセッティングとして
塩、山椒、すだち、大根おろし、出汁が用意されます。
天ぷらは断然「塩」派なので、出汁はちょこっとしか使わず。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19103670.jpg

まずは車海老からスタート。
小さいながらも甘味と香りと食感が素晴らしい。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19104615.jpg

からりと揚げられた殻は「かっぱえびせん」の味。(笑)
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19105836.jpg

しっかり甘さを引出した玉葱。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1911961.jpg

白魚を大葉で巻いたもの。
ふわっとした白魚の食感と大葉の香りが絶妙。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19113366.jpg

ビールの次は俵屋オリジナルの冷酒を。
すっきりと品があり、料理の邪魔をしないお酒です。
酒器は旅館でも同じ物が使われていました。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19115572.jpg

粟と蓬の生麩はもっちり。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1912716.jpg

どんぐりのような小さな天ぷらは「ふきのとう」。
今年は出るのが早いので何度か口にしましたが
この香りと苦味に出逢うと春を実感します。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19123516.jpg

たっぷりの雲丹を海苔で包んだもの。
こちらも大変美味しかったです。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19124911.jpg

直径10cm程の大きな椎茸はじっくり
揚げられていました。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19125850.jpg

このヒョロリとした食材はなんでしょう?
・・・答えは「穴子の骨」です。
骨もちゃんと穴子の味がするのです。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19131059.jpg

締めは骨の本体の穴子。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19132192.jpg

御飯は「ミニ天丼」「天茶漬け」「白御飯」
から選べます。天茶にしました。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19133827.jpg

デザートは苺とグレープフルーツのジュレがけ。
ほんのりミントの香りのするジュレと
フルーツが良く合い、食事の締めくくりにぴったりでした。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_1914857.jpg

カウンター全景。
ここもまた俵屋と同様に華美な演出は全くなく、
内装や家具も器も一見高価なものには見えません。
でも不思議と心地よい空間です。
そしてお店全体に漂う品の良さやあたたかなサービスには
宿と共通する空気を感じます。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19143177.jpg

カウンターの隅には都忘れがさりげなく。
歌舞伎と天麩羅_b0035734_19112037.jpg



素材、天麩羅の加減、量、空気・・・
全てが私にとって理想に近い天ぷら店に出会えました。


*コースのボリュームは女性には程よい量ですが、
男性には若干物足りないかもしれません。
コースメニューは他にもあります。

*先月の昼にも利用しましたが、一品目のすっぽん茶碗蒸しと
最後のデザートは夜と同じ品でしたので、
ランチの天ぷらコースはとてもお徳だと思います。

*観劇の後で入店したのが遅く、
入れ違いで貸し切り状態になったので
お店に了承を得てから写真を撮らせいただきました。
by izola | 2007-03-05 23:59 | 京都/奈良

旅は心の宝石箱