2007年 03月 05日
歌舞伎と天麩羅
昨日の京都は花見の時期かと
勘違いする程のあたたかな一日でした。
H様からいただいた招待状を持って
訪れたのは久しぶりの「京都 南座」。
劇場前には粋に着物を着こなした外人さんが↓
いらっしゃいました。^^
ここ南座は、元和年間に公許されて以来、
明治、大正の改装と昭和という時代を経て
平成3年に外観はそのままに内部を全面改装して
現在の形になったそうです。
この日の演目は中村橋之助主演の三月花形歌舞伎
通し狂言「霧太郎天狗酒盛」。
ストーリー自体は単純な内容でしたが、
華やかな舞台セットや途中のどんでんの様子、
歌舞伎ならではの台詞まわしや見栄の切り方、
艶やかな衣装にアクロバティックな宙乗りなどなど
見どころ満載で、歌舞伎に全く詳しくない私でも
楽しく観ることができました。
出演した役者の中では主演の橋之助よりも
遊女役の七之助が郡を抜いて素晴らしかったです。
世界遺産のナレーションでお馴染みの勘太郎くんも
まだまだ貫禄はないけど頑張ってるなーと微笑ましかったです。
久々のジャパニーズオペラに感動した後は
足早に四条大橋を渡り、錦市場を通り抜けて
御幸町をグングン歩いて三条方面へ。
この日予約していたのは俵屋旅館が
経営する天ぷら懐石のお店「点邑」。
佐藤年さんが、俵屋に連泊するゲストが
食事に飽きないようにという気遣いから
生まれたお店だそうです。
以前は1階が「ギャラリー遊形」でしたが、
現在ギャラリーは旅館にすぐ近くに移転していて
ここはショーウインドーのようになっています。
奥のらせん階段を上がったら点邑。
2階はカウンター、3階は座敷席になっています。
今回はカウンター席でいただきました。
カウンターはわずか10席。とても小さな空間です。
でもそのおかげでゲストは目の前で揚げられる
天ぷらを熱々でいただくことができます。
この日お願いした「天ぷら懐石コース」は
前菜3品+天ぷら+御飯+デザートという構成。
まずはビールを。錫のコップで飲むビールは
心なしか美味しく感じます。
一品目は「すっぽん茶碗蒸し」でしたが
写真がボケボケでした。
ニ品目は「平目のお造り」。
ねっとりとした身と歯ごたえのあるエンガワが美味。
三品目は・・・
百合根と鴨まんじゅう。
たっぷりの餡とからめると幸せ。
お次は天ぷらのセッティングとして
塩、山椒、すだち、大根おろし、出汁が用意されます。
天ぷらは断然「塩」派なので、出汁はちょこっとしか使わず。
まずは車海老からスタート。
小さいながらも甘味と香りと食感が素晴らしい。
からりと揚げられた殻は「かっぱえびせん」の味。(笑)
しっかり甘さを引出した玉葱。
白魚を大葉で巻いたもの。
ふわっとした白魚の食感と大葉の香りが絶妙。
ビールの次は俵屋オリジナルの冷酒を。
すっきりと品があり、料理の邪魔をしないお酒です。
酒器は旅館でも同じ物が使われていました。
粟と蓬の生麩はもっちり。
どんぐりのような小さな天ぷらは「ふきのとう」。
今年は出るのが早いので何度か口にしましたが
この香りと苦味に出逢うと春を実感します。
たっぷりの雲丹を海苔で包んだもの。
こちらも大変美味しかったです。
直径10cm程の大きな椎茸はじっくり
揚げられていました。
このヒョロリとした食材はなんでしょう?
・・・答えは「穴子の骨」です。
骨もちゃんと穴子の味がするのです。
締めは骨の本体の穴子。
御飯は「ミニ天丼」「天茶漬け」「白御飯」
から選べます。天茶にしました。
デザートは苺とグレープフルーツのジュレがけ。
ほんのりミントの香りのするジュレと
フルーツが良く合い、食事の締めくくりにぴったりでした。
カウンター全景。
ここもまた俵屋と同様に華美な演出は全くなく、
内装や家具も器も一見高価なものには見えません。
でも不思議と心地よい空間です。
そしてお店全体に漂う品の良さやあたたかなサービスには
宿と共通する空気を感じます。
カウンターの隅には都忘れがさりげなく。
素材、天麩羅の加減、量、空気・・・
全てが私にとって理想に近い天ぷら店に出会えました。
*コースのボリュームは女性には程よい量ですが、
男性には若干物足りないかもしれません。
コースメニューは他にもあります。
*先月の昼にも利用しましたが、一品目のすっぽん茶碗蒸しと
最後のデザートは夜と同じ品でしたので、
ランチの天ぷらコースはとてもお徳だと思います。
*観劇の後で入店したのが遅く、
入れ違いで貸し切り状態になったので
お店に了承を得てから写真を撮らせいただきました。
by izola
| 2007-03-05 23:59
| 京都/奈良