旅の感動 vol.2

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昨日に引き続き、今までの旅の中で感動した芸術について。

絵画の分野で最も感動したのは
マドリードのソフィア王妃芸術センターに所蔵されている
ピカソのキュビズムの最高傑作『ゲルニカ』です。

目にした瞬間に、これに関しては描いた人を好きか嫌いかなどの問題ではなく
人類として見ておくべき絵画だと思いました。

ゲルニカという小さな村を襲ったスペイン内戦の悲劇を3.5m×8mの巨大な
カンヴァスに描いたこの作品は、戦争の不条理や暴力性を厳しく告発しており、
作品のサイズの大きさにも驚きますが、それ以上にこの作品を通して感じる
ピカソの怒りのパワーの大きさに驚きます。

ヨーロッパの美術館にしては珍しく、作品から5m近く離れた位置でロープが
張り巡らされており、作品に吸い寄せられるようにロープから身を乗り出して
見ていた私は2度も警備員に注意されてしまいました。

これこそが、目の前でみるべき作品なのに!!
でも、ひょっとしてあまりのパワーの強さに、間近だと見る人間の精神を
蝕んでしまうのかもしれない・・・。
そんな事すら考えてしまう程の強烈なオーラを持った作品です。

マドリードに行かれる機会があれば、なにをおいてもぜひ見て下さい。
他のピカソ作品をなにひとつ目にすることがなくてもこれだけは見て欲しい。
見て、作品の放つメッセージを心で感じて欲しい。
そう思います。

でも、機会があれば他のピカソ作品もぜひ見て下さいね。
一番オススメなのは、パリのマレ地区にある「ピカソ美術館」です。
「塩の館」と呼ばれる邸宅の中にピカソの全時代の作品がとてもわかりやすく
分類、展示されています。

ここを訪れるまでピカソには全く興味がありませんでしたが、
デッサン、絵画等の平面から陶芸などの立体作品まで、あらゆる分野で才能を
発揮していた彼の作品に触れているうちに、ピカソが奇抜なだけの天才なの
ではなくきちんとした下地のある優れた芸術家であるということがよくわかり、
とても好きになりました。

バルセロナにある「ピカソ美術館」にも大量のデッサンが展示されていますが、
どれも非常に優れたデッサンで、基礎力がこれだけしっかりしていたからこそ
あれだけの様々な作品を生み出すことが出来たのだと理解できました。

「本物だけが真実を語る。」
このような作品に出会う度にその事を強く強く感じます。
by izola | 2004-11-02 23:51 | トラベル(海外)

旅は心の宝石箱